ヘレナはロンドンの高級ホテルで、ある男性を待ち伏せしていた。レオ・ヴィンチェンティ―大成功を収めたイタリア人富豪で、７年前、父親に仲を引き裂かれた初めての恋の相手。その彼が父の会社の乗っ取りを企んでいると知り、なんとか思いとどまるよう説得に来たのだ。だが再会したレオから逆に、予想外の取り引きを提案される。「僕の顧客の令嬢の前で恋人役を演じてくれるなら考えよう」愛の一片もない言葉に打ちのめされ、ヘレナは心の中で叫んだ。レオに伝えてしまいたい―あなたには息子がいたのよ、と。

ビッセル，アンジェラ(ビッセル，アンジェラ)
ヨーロッパ、エジプト、イスラエル、トルコ、ギリシアの島々を旅して回り、ロンドンでホテル勤務の職を得て数年間働いたのち、ニュージーランドのウエリントンに在住（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）