ソーンダイク博士は尋ねました。「杖はあなたが持っていましたか、それとも…」リチャード・オースティン・フリーマンの“Ｈｅｌｅｎ　Ｖａｒｄｏｎ’ｓ　Ｃｏｎｆｅｓｓｉｏｎ（１９２２年）”は、２０世紀初めに多数登場したシャーロック・ホームズのライバルたちの中でも最も人気を博した名探偵ソーンダイク博士が登場する長編作品です。若く美しいヘレン・ヴァードンは、ある日、父親の書斎のドア越しに、父とある男との激しい口論を耳にします。それは、後に彼女の運命を大きく変えることになる事件へと発展し、窮地に立たされます。ソーンダイク博士は、科学的捜査の実証をもって謎を解き明かしていきます。本格ミステリであるとともに自立しようと努力する一人の女性の物語でもあります。