内容紹介：朝ドラウォッチャーのコミュニティは平和で穏やかだ。ファンサイトを運営している管理人を中心に、さまざまな世代の人たちが、自分の好きな俳優やシーンについて語り合い、分かち合う。みんな住んでいる場所もバラバラ。管理人のさおしかが、朝ドラに登場した秋田の名産品を希望者に送ったことがきっかけで、お互いが地元のおいしいものを送り合うようになる。唯一の楽しみは推しの俳優を見ることなのに、仕事が忙しくて遠征できないのが不満の秋田在住の若きネイリスト。脱サラして喫茶店経営をするものの、退職したおじさんたちのたまり場となり辟易している、愛知在住・歴史オタクの男性。東京で働いていたがうまくいかず、同期の男性と故郷の長崎に戻り、恋愛感情抜きの同居生活を始めた女性エンジニア。人生に息苦しさを感じている人々が、全国各地のおいしいものとの出会いを通じて、自分の人生を見直す姿を描く温かい連作短編集。
おいしいもの便―それは、ローカルな食べものを送り合う幸せな宅配便。ドラマのファンサイトに集うネット仲間は、住む場所も世代もさまざまだ。推し活が命の秋田在住のネイリスト。同僚の故郷・長崎で恋愛抜きの共同生活をする女性エンジニア。広島での母との同居を機に、卒婚を言い渡された元テレビプロデューサー。息苦しさを抱える人々が別の土地のおいしいものを通じて、自分と向き合っていく。人生が愛おしくなる温かい物語。

十三　湊(トサ　ミナト)
第２０回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、デビュー。著書に、第１０回エキナカ書店大賞受賞作を含む「ちどり亭にようこそ」シリーズ（全４巻）など（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）