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内容紹介・もくじなど
著者プロフィール
シャムジー,カミーラ(シャムジー,カミーラ)
1973年、パキスタンのカラチ生まれ。米国ハミルトン大学で学士号を、マサチューセッツ大学アマースト校創作プログラムで修士号を取得した。1998年にIn the City by the Seaで作家デビュー。2009年刊の本書『焦げついた影』(Burnt Shadows)は英国でその年の優れた女性作家の小説に与えられるオレンジ賞の最終候補作となり、米国ではアニスフィールド・ウルフ図書賞を受賞した。2018年の『帰りたい』(Home Fire)は女性小説賞を受賞するとともに、ブッカー賞の候補作とのなった シャムジー,カミーラ(シャムジー,カミーラ)
1973年、パキスタンのカラチ生まれ。米国ハミルトン大学で学士号を、マサチューセッツ大学アマースト校創作プログラムで修士号を取得した。1998年にIn the City by the Seaで作家デビュー。2009年刊の本書『焦げついた影』(Burnt Shadows)は英国でその年の優れた女性作家の小説に与えられるオレンジ賞の最終候補作となり、米国ではアニスフィールド・ウルフ図書賞を受賞した。2018年の『帰りたい』(Home Fire)は女性小説賞を受賞するとともに、ブッカー賞の候補作とのなった |
1945年8月9日。田中寛子は縁側に立ち、眼前に広がる長崎の美しい山々を見つめていた。「戦争はいつ終わるのかしら?」ドイツ人男性コンラッドとの結婚を目前に控えた彼女はひとりごちた。その瞬間、閃光と爆風とともに世界は消え去った。彼女の背中に鶴の形をした火傷だけを残して。傷心の寛子は、戦後コンラッドの異母姉夫婦を頼って単身インドのデリーに渡る。そ…(続く)
1945年8月9日。田中寛子は縁側に立ち、眼前に広がる長崎の美しい山々を見つめていた。「戦争はいつ終わるのかしら?」ドイツ人男性コンラッドとの結婚を目前に控えた彼女はひとりごちた。その瞬間、閃光と爆風とともに世界は消え去った。彼女の背中に鶴の形をした火傷だけを残して。傷心の寛子は、戦後コンラッドの異母姉夫婦を頼って単身インドのデリーに渡る。そこで夫婦の使用人でムスリムの青年サジャッドと知り合い、その知的で真摯な物腰に次第に惹かれていく…。長崎への原爆投下からインド・パキスタン分離独立、ソ連のアフガニスタン侵攻、2001年同時多発テロ事件―激動の現代史に翻弄された日本人女性の生の軌跡を描く圧巻の文芸大作。アニスフィールド・ウルフ図書賞受賞。オレンジ賞最終候補作。