大きな森にいた頃の夢、くじらになって音符をふりそそぐ夢…。ピアノは、色鮮やかな世界で自由に遊ぶ。名コンビによる詩絵本。

あるまぶしい朝、そのおじいさんのようなピアノは、ごつごつと、しずしずと、そして威風堂々と、わたしのところにやってきました。昔々ドイツのノイマン社で「ピアノ」になり、はるばる日本にわたってきたピアノなので、わたしは「ノイマンじいさん」と呼んでいます。話せば長いいきさつとご縁があって、「ノイマンじいさん」は、余生をわたしのところで過ごすことになりました。この本は「ノイマンじいさん」がうとうとしながら語ってくれた物語を、ゆっくりゆっくりきいて、ゆっくりゆっくり詩と絵にしたものです。

工藤　直子(クドウ　ナオコ)
１９３５年生まれ。詩人。２００８年『のはらうたＶ』で講談社野間児童文芸賞受賞