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内容紹介・もくじなど
著者プロフィール
桑原 ヒサ子(クワハラ ヒサコ)
1953年、東京都生まれ。学習院大学大学院博士課程修了、敬和学園大学人文学部教授。専攻はドイツ文学、ドイツ現代文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 桑原 ヒサ子(クワハラ ヒサコ)
1953年、東京都生まれ。学習院大学大学院博士課程修了、敬和学園大学人文学部教授。専攻はドイツ文学、ドイツ現代文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) |
内容紹介:1932年から敗戦直前まで発行されたナチスの機関誌「女性展望」は合計282号を数え、最盛期には140万部を記録した。それは、ナチ女性団が編集・発行した女性向けプロパガンダ雑誌として、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達する有力メディアのひとつだった。誌面では、ヒトラーの指導者像を形作り、敵と味方のイメージを色濃く描き分け、女性を戦時奉仕活動へと動員するための表象を次々に打ち出していった。一方では、性別役割分業と良妻賢母思想を宣伝し、戦時下の窮乏生活を乗り切るための調理方法や物資の倹約法、娯楽を提供する連載小説などを掲載した。さ…(続く)
内容紹介:1932年から敗戦直前まで発行されたナチスの機関誌「女性展望」は合計282号を数え、最盛期には140万部を記録した。それは、ナチ女性団が編集・発行した女性向けプロパガンダ雑誌として、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達する有力メディアのひとつだった。誌面では、ヒトラーの指導者像を形作り、敵と味方のイメージを色濃く描き分け、女性を戦時奉仕活動へと動員するための表象を次々に打ち出していった。一方では、性別役割分業と良妻賢母思想を宣伝し、戦時下の窮乏生活を乗り切るための調理方法や物資の倹約法、娯楽を提供する連載小説などを掲載した。さらに、ナチ女性団と、権力掌握後にナチ化を受け入れたドイツ女性事業団の活動記事からは、彼女たちが母性主義を逆手に取って、家庭に収まることなく女性の社会的地位向上を目指して大規模な社会活動を展開したことを明らかにして、これまでのナチ女性のイメージを覆す。本書は、官製女性雑誌のために戦後ドイツの記憶から消し去られた「女性展望」を掘り起こし、ナチス支配下に生きた女性たちの全体像を解明する初の研究成果である。300点の貴重な図版を所収する。
「女性展望」は、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達する有力なプロパガンダメディアだった。戦後ドイツの記憶から消し去られたナチス機関誌を掘り起こし、ナチス政権下に生きた女性たちの実像に迫る。
もくじ情報:第1部 「女性展望」が描く女性像と日常生活(表紙から明らかになるジェンダーとその揺らぎ;多様な母親表象とナチ女性団の「民族の母」という概念;連載小説とその作家たち;ファッションと料理の頁から再構成する第二次世界大戦下の暮らし;広告が描き出す日常生活と女性;広告ページに掲載された生徒・学生募集広告が伝える女子教育機関);第2部 イメージ表象と女性の戦時動員(「女性展望」が伝える味方と敵の表象;「女性展望」が伝えるヒトラー像;ドイツ人女性の戦時活動―銃後から前線まで;ドイツ人女性兵士は存在しなかったのか);第3部 ドイツ人女性の社会進出と敗戦(全国女性指導者ゲルトルート・ショルツ=クリンクとドイツ人女性の社会活動―公的イデオロギーと女性の地位向上のはざまで;敗戦―女性雑誌「コンスタンツェ」に描かれた敗戦直後のドイツ人女性)