『ウェディング・バンケット』『恋人たちの食卓』『グリーン・デスティニー』『ラスト、コーション』…。綺羅星の如き作品たちのなかに通底する「視線」のテーマを分析し、それを結び合わせることで華人監督・李安という星座を描き出す。
もくじ情報：序章　李安（アン・リー）の華語映画（先行研究の検討；華語映画とは何か；理論的枠組み；本書の全体構成）；第一章　交渉するクィアな家族像―『ウェディング・バンケット』（『ウェディング・バンケット』の誕生背景；ニューヨークの都市空間から見たクィア・ファミリー；食事シーンから見る変貌した家族表象）；第二章　焦点化される父親の欲望―『恋人たちの食卓』（オープニングに関する考察；「飲食」；「男女」）；第三章　古典中国を移動する女侠―『グリーン・デスティニー』（中華圏の武侠映画の系譜；無法の西部空間―荒野における主体性の芽生え；官の東部空間―北京城における「江湖夢」の形成；侠客の江南風景―想像の江湖を撹乱する）；第四章　戦時上海におけるスパイ物語―『ラスト、コーション』（老上海（Ｏｌｄ　Ｓｈａｎｇｈａｉ）の都市空間；マージャンシーンから見た視線のポリティクス；ベッドシーンから見た身体の権力関係）；終章　華語映画　視線のポリティクス

陳　悦(チン　エツ)
１９８６年中国南京生まれ。現在、中国・東南大学芸術学部講師。専門は中華圏映画批評および日中映画交流・ジェンダー研究（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）