内容紹介：１９６５年、東京五輪が世界中を興奮と歓喜の渦に巻き込む裏では、“クリーンな日本”をアピールするため、徹底的な風紀の取り締まり（浮浪者や、特に娼婦）の排除が行われていた。そんな折、ある事件が起こる。戸籍上は男性である“女性たち”（ブルーボーイ〈男娼〉）を売春禁止法では取り締まれないので、対抗策として性転換手術を行う医師を見せしめに逮捕したのだ。裁判では性転換手術の是非が問われ、証人として出廷した“彼女たち”は世間から奇異の目で見られた。やがてこの裁判は「ある女性の幸せ」を裁く前代未聞の展開を見せる。実話を基にした映画の小説版。
１９６５年、高度経済成長下で国際化に向け売春の取り締まりが強化される中、性別適合手術を行った医師が逮捕された。彼のもとで手術を受けた患者のひとりであるサチは、弁護士から証人としての出廷を依頼され…。トランスジェンダーの苦難の始まりを描く映画の小説版。

中川　千英子(ナカガワ　チエコ)
石川県生まれ。脚本家、小説家。清泉女子大学卒。芦沢俊郎シナリオ塾で作劇を学ぶ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）