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内容紹介・もくじなど
内容紹介:裁判員裁判は2009年(平成21年)5月21日に施行され、同年8月3日に東京地方裁判所で最初の公判が行われた。精神障害をもった被疑者の精神鑑定がそのまま判決に直結するわけではないが、裁判員が精神鑑定書を理解するのはいまもって難しい。精神鑑定には、検察側の委嘱による起訴前本鑑定、簡易鑑定、裁判所の行う公判鑑定、そして被疑者と弁護人が行う私的鑑定によって、被疑者の責任能力、訴訟能力、受刑能力、情状などを鑑定するが、裁判所が重複鑑定を制限する方向を打ち出したことで検察側の起訴前本鑑定が精神鑑定として定着しつつある。 厚労省研究班と検察庁が推奨する「7つの着眼点」(動機の了解可能性、犯行の計…(続く)
内容紹介:裁判員裁判は2009年(平成21年)5月21日に施行され、同年8月3日に東京地方裁判所で最初の公判が行われた。精神障害をもった被疑者の精神鑑定がそのまま判決に直結するわけではないが、裁判員が精神鑑定書を理解するのはいまもって難しい。精神鑑定には、検察側の委嘱による起訴前本鑑定、簡易鑑定、裁判所の行う公判鑑定、そして被疑者と弁護人が行う私的鑑定によって、被疑者の責任能力、訴訟能力、受刑能力、情状などを鑑定するが、裁判所が重複鑑定を制限する方向を打ち出したことで検察側の起訴前本鑑定が精神鑑定として定着しつつある。 厚労省研究班と検察庁が推奨する「7つの着眼点」(動機の了解可能性、犯行の計画性、違法性の認識など7つの着眼点)は、マニュアル的に適用すると有責へ傾く判決の可能性が高い。裁判が簡素化され(鑑定書枚数は制限され、口頭報告である)迅速になっていく一方、死刑制度がもはや犯罪抑止にならないなかで、裁判員裁判による刑事精神鑑定の問題性を多面的に検証する。
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