ディスク1
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1.
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King’s March(Strings Version)
[4:17]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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2.
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Vacant Throne
[1:30]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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3.
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The Fortress Title
[1:13]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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4.
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Dispute
[3:21]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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5.
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Yong’s Threat
[1:59]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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6.
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King’s Letter
[2:19]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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7.
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Battle 1
[1:28]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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8.
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Blacksmith Battle 2
[2:01]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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9.
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Straw Bag, Good Meal
[2:23]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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10.
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Absurd Order Battle 3
[6:37]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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11.
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Escape 1
[1:08]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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12.
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Kahn’s Letter
[1:16]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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13.
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Traitor
[1:06]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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14.
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Escape 2
[2:56]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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15.
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Battle 4
[5:35]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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16.
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Chilbok
[2:45]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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17.
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Farewell
[1:33]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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18.
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King’s March
[3:06]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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19.
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Return
[4:42]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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20.
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Traitor(Piano Version)
[5:34]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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21.
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King’s March(Spinet Version)
[2:45]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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22.
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Traitor(Strings Version)
[5:09]
(ツイン配給映画「天命の城」O.サントラ)
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餓えと寒さに苛まれながらの籠城という極限状況をオールロケで撮影した映像のリアリティは凄まじいが、そこに坂本はさまざまなサウンドを加えることで、この映画を単なる歴史物を超えた別次元のものへと昇華させている。
「Vacant Throne」での超低域と物音、「The Fortress Title」でのアナログシンセの和音と低いベース、「Dispute」での深いリバーブがかけられたピアノ内部奏法、「Yong’s Threat」でのモジュラーシンセによるノイズ…それらは晩年のソロアルバム『asyn…(続く)
餓えと寒さに苛まれながらの籠城という極限状況をオールロケで撮影した映像のリアリティは凄まじいが、そこに坂本はさまざまなサウンドを加えることで、この映画を単なる歴史物を超えた別次元のものへと昇華させている。
「Vacant Throne」での超低域と物音、「The Fortress Title」でのアナログシンセの和音と低いベース、「Dispute」での深いリバーブがかけられたピアノ内部奏法、「Yong’s Threat」でのモジュラーシンセによるノイズ…それらは晩年のソロアルバム『async』に通じるサウンドであり、映画のサウンドトラックであることを忘れ聴き入ってしまうほどだ。もちろん、メインテーマである「King’s March Strings Version」での空気を包み込むような優美なストリングスは坂本の真骨頂であり、戦闘シーンで流れる曲ではストラヴィンスキーをほうふつさせるオーケストレーションとリズムを展開するなど、伝統的な映画音楽の要素も巧みに組み込まれている。
「King’s March」はストリングスバージョンのほかさまざまな変奏が行われるが、なかでも「King’s March Spinet Version」の美しさは格別だ。チェンバロと同族の古楽器であるスピネットは繊細な音を奏でるが、音量が持続せずすぐに消えていくのが特徴。そのスピネットをゆったりとしたテンポで、それこそ拍や節にとらわれることなく弾くことで、音の消え際から次の音が立ち現れるまでの間が生じ、引き伸ばされた時間と深淵な空間とを表現しているのだ。そんな小音量の世界からオーケストラやシンセを使った大音量、さらには超低域から超高域まで、シーンごとに音量的にも周波数的にもレンジの広いサウンドが繰り出される本作は、『レヴェナント:蘇えりし者』のサウンドトラックや『async』を経ての、坂本の集大成のひとつと言えるだろう。