慾にかられてモノを買うと、ろくな事がない・・・。マタギの女神様、貼雑屏風の下張り、シーサー、船箪笥、木のおろしに炭箱などなど、人がかえりみず、気がつかないものの中こそが、美の在処。ビンボーな数寄者が織りなす、古民芸蒐集の悲喜こもごも。/民具、仏画、壺屋焼…誰も欲しがらない地味なモノも、見方次第で驚くほどモダンなものに変わる。不景気な時代を楽しくする骨董術。

不景気だから、というわけではない。慢性骨董病の著者は、モノを愛する気持ちは人一倍だが、恒常的にお金がない。それでも、美しいモノに出会うと発作的に、「買った！！」とのたまってしまう。マタギの女神様、貼雑屏風の下張り、シーサー、船箪笥、木のおろしに炭箱…。人が振り向かない、気付かないもののなかに、美は存在する。ビンボーな数寄者が引き起こす、悲喜こもごもの古民芸蒐集録。待望のエッセイ第３弾。
もくじ情報：１　不思議な御縁のモノたち（薩摩焼；九州の神像　ほか）；２　「雑器帖」より（三種の面；線香立　ほか）；３　名もなき人が遺したモノ（泥絵雑感；「捨てられたものよ」　ほか）；４　ふたりの目利き（器は語る―柳と青山のこと；柳宗悦とそば猪口　ほか）

尾久　彰三(オギュウ　シンゾウ)
１９４７年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科美術史学科修士課程修了。日本民芸館学芸員（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）