自動車社会の到来とともに、都市の人々はこぞって郊外に家を求め、今や地球環境を脅かす問題を引き起こしている。人はなぜそれほどまでに郊外脱出を望んだのか？その根源には『桃花源記』に遡る隠遁への憧れがあった―。東西の古典・近代思想を縦横に逍遥し、近代郊外住宅の理想が現れた過程と人間の存在基盤への影響を浮彫りにする。「ＫＹＯＴＯ　地球環境の殿堂」第８回殿堂入りを果たしたオギュスタン・ベルク氏による都市論の集大成。
もくじ情報：プロローグ　流れる風（＝風流）；第１部　中国（遊仙；城外隠遁；風景の誕生）；第２部　日本（廬山を京都に移送する；茶室からファスト風土へ；郊外への脱出）；第３部　地球／世界（田園拡散都市の機械学；無基底の世界）；エピローグ　栗林にて

ベルク，オギュスタン(ベルク，オギュスタン)
１９４２年モロッコ生まれ、フランスの地理学者、東洋学者、哲学者。１９６９年パリ大学地理学第三課程博士号、１９７７年文学博士（国家博士）号を取得。１９７９年よりフランス国立社会科学高等研究院教授（風土論）。欧州学士院会員。２００９年福岡アジア文化賞大賞、２０１１年国際交流基金賞、２０１５年旭日中綬章など受賞多数