お地蔵さんは、六道能化の菩薩として、六道に浮き沈みする衆生を、地獄であろうと、餓鬼の世界であろうと、どこまでもたずね求めて、力となってくださるのですが、したがって、そこには死の影のみえることもあるのですが、死者をおもい、死をおもうことによって、かえって、いま、ここにある生をこそ、しかと頂戴すべきことを教えられるのであります。
もくじ情報：お地蔵さんのお経―『地蔵菩薩本願経』について；もろもろの鬼神等集会す；限りなき行願；地蔵のみ名を称えよ；身を投げて母を慕う―地蔵菩薩の前生話；仏を瞻仰して、目、しばらくも捨てず；衆生をして、永く諸苦を離れしめよ―地蔵への付嘱；後世悪業の衆生をもって、慮りをなしたまわざれ―地蔵菩薩の本願；衆生の造業；因蔓、断えず；魚の網に遊ぶが如し；お地蔵さんの見聞利益

太田　久紀(オオタ　キュウキ)
昭和３年３月鳥取市に生まれる。昭和２６年駒澤大学文学部仏教科卒業。仏教学・唯識学専攻。元駒沢女子短期大学教授。元駒沢大学仏教学部講師。元薬師寺唯識学寮講師（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）