最近は症例を中心に診断・治療のあり方を討論しながら考えさせるＰＢＬ（ｐｒｏｂｌｅｍ‐ｂａｓｅｄ　ｌｅａｒｎｉｎｇ）チュートリアルが学生教育に取り入れられつつあるが、この考え方を一冊の書に凝集して効率よく学べるように意図したのが本書である。監修者が２００３年１０月に第７回日本心不全学会学術集会を主宰した際に『症例報告』セッションを設け、興味ある症例を提示していただいたが、その一部を本書に収載した。それゆえ、症例は日常診療の中で診断・治療に苦労されたものが多い。ＰＢＬチュートリアルを意識して、「プロブレム・リスト」により簡潔にポイントを整理し、「入院後経過」と病態に関する「考察」を記述した。
もくじ情報：心不全ＵＰ‐ＴＯ‐ＤＡＴＥ―心不全の診断と治療；周産期発症心筋症の１例；両心房拡大を認めた心尖部肥大型心筋症の１例；興味ある臨床経過を呈したタコツボ型心筋症の１例；ミトコンドリアＤＮＡ３２４３点変異による心筋症の１例；心拍数依存性の左室弛緩能低下が失神発作の一因と考えられた拡張型心筋症の１例；ｓｔｕｎｎｅｄ　ｍｙｏｃａｒｄｉｕｍからの回復に長時間を要した１例；心不全症状で発症し、心嚢ドレナージにても心タンポンーデ症状を解除できなかった心膜悪性中皮腫の１例；心不全にて発症した多発性左房内腫瘤の１例；ＭＧＵＳに続発した心アミロイドーシスの１例〔ほか〕

堀　正二(ホリ　マサツグ)
大阪大学教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）