ＥＢＭ主体の現在、投薬・服薬体験をもとに精神科薬物をナラティブに語り合う。精神科治療をきわめるための刺激的な提言。

個々の精神科医は、日頃何を考え、何を感じながら、投薬を行っているのか。その内に秘められた営為を開陳し、相互に照らしあわす画期的なワークショップが開催された。本当に、ＥＢＭと精神薬理学の知識を身につけるだけで、薬物治療、ひいては精神科臨床に通暁することが可能なのか。薬を知り、患者を知るとはどういうことか。まさに臨床の本質を射ぬかんとした、たましいの一作である。
もくじ情報：第１章　官能的評価を語る意義とは（官能的評価とは何か；官能的評価をいかに考えるか）；第２章　症例検討会を通してみる官能的評価（うつ病として治療されていた双極スペクトラムの親子；体感幻覚を読み解く）；第３章　それぞれの薬の官能的評価を語ろう（ジプレキサ；リスパダール；セロクエル；ルーラン；セレネース　ほか）

神田橋　條治(カンダバシ　ジョウジ)
伊敷病院副院長。１９３７年、鹿児島県加治木町生まれ。１９６１年、九州大学医学部卒業