内容紹介：兄が弟を殺す旧約聖書の逸話は、人類最初の殺人の記録でもある。本書では９名の研究者がこの物語の奥に隠されているものを読み解き、暴力をめぐって独創的な説をたたかわせる。神はカインが殺されないよう彼に印を付けて暴力の再発を禁ずるが、現実の社会では暴力が絶えることはない。世界が混迷から抜けだす手段はあるのだろうか、その手がかりを探る。
現代世界の混迷から抜けだす手段とは。神話の奥に隠されているものを読み解き、暴力をめぐって仮説を展開する。
もくじ情報：火と野獣―ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』についての哲学的＝政治的解釈；アダムとイヴには息子が二人いた…；権力の原型としてのカインの“しるし”；兄弟間の敵対関係　政治的衝突のパラダイム；ライバル意識とミメーシス―内部の未知なる者；過ちの樹―聖書における暴力の啓示；政治の自己＝免疫的な隠喩；兄弟間の争いの起源に関する精神分析的考察

内藤　雅文(ナイトウ　マサフミ)
１９５２年生。筑波大学大学院文芸言語研究科各国文学専攻博士課程修了。フランス文学専攻（マルセル・プルーストの研究）。現在、武蔵大学・二松學舍大学非常勤講師（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）