内容紹介：青春は絶望する。なぜなら大きな希望がある－－。家主が自殺したばかりの芥川龍之介邸に通った時の記憶から、独自の青春論へ思考を展開させる。厭世的な語り口のなかに、底抜けの明るさを秘めた作品集。
青春ほど、死の翳を負い、死と背中合わせな時期はない―。同人雑誌を編輯するため、あるじが自殺して間もない芥川龍之介の家に通った日々。苦悶がしみついているような暗い家が思いださせるのは、青春時代に死んでいった仲間たちの姿だった。人間の喜怒哀楽の舞台裏に潜む、振り払い難き「死」の存在に、無頼派の旗手が独自の視点から肉迫を試みた。表題作「暗い青春」ほか、火花の如き輝きを放つ短編全１０編を収録。

坂口　安吾(サカグチ　アンゴ)
１９０６年（明治３９年）、新潟生まれ。東洋大学印度哲学倫理学科卒業。４６年に発表した「堕落論」が反響を呼び、続く「白痴」によって太宰治、織田作之助らとともに新文学の旗手として文壇に特異な地位を築く。５５年、脳出血により４８歳で急逝（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）