漢字廃止・制限論と擁護論との対立が、さまざまな「応世」と偏狭頑迷な「伝世」の主張となって、激しい「思想戦」をいくたびも繰り返してきた。その逆説の構図をあぶり出す、日本語そのもののあり方を問い直し、これからの日本語を考えるために不可欠の基礎作業。文字に思想はあるのか。
もくじ情報：第１章　漢字廃止・制限論をどうとらえるか；第２章　文明化の思想；第３章　競争の思想―国際競争と産業合理化のなかで；第４章　動員の思想―能率と精神のあいだ；第５章　革命の思想―マルクス主義という「応世」；第６章　草の根の思想―「昭和文字」の射程；第７章　総力戦下の思想戦―標準漢字表をめぐる攻防；第８章　それぞれの敗戦後

安田　敏朗(ヤスダ　トシアキ)
１９６８年、神奈川県うまれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了。博士（学術）。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専門は近代日本言語史（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）