世界中の美しい乳房の前に跪き、その忠実な息子になりたい――。刊行後忽ち発禁処分となったノーベル賞作家の代表作がライブラリー化。（下）も発売。

抗日運動、内戦、中華人民共和国誕生、文革、改革・開放、姦通、駆け落ち、死姦、身売り―激動の現代中国史を背景に繰り広げられる、八歳まで母乳しか受けつけずに育った混血男児・上官金童とその母、そして八人の姉たちの数奇・摩訶不思議な運命模様。

莫　言(モオ　イエン)
１９５５年２月、山東省高密県の農民の子として生まれる。幼少年期に文革に遭い、生まれた村で労働のかたわら、兄の教科書や旧小説で、文学に目覚める。７６年に人民解放軍に入隊、８１年頃から創作を始める。８５年に『透明な赤蕪』で文壇にデビュー。翌８６年、『紅いコーリャン』で、中国農民の原始的生命力を描いて、不動の地位を確立。９７年、人民解放軍を除隊、検察日報に移り、２００７年文化部中国芸術研究院へ移る。２０１２年、ノーベル文学賞を受賞