中小企業の企業家精神あふれる次世代経営者を発掘し、彼らに新たな投資をしなければ、日本経済の停滞は避けられません。日本では、２０～３０代の若手社員を雇用している地域の優れた中小企業でも、後継者不足によって廃業の危機に至っています。ベンチャー支援で、新たに１社のベンチャー企業が生まれる間に、１００社の優れた中小企業が消滅しては日本経済の発展はありません。優れた中小企業の存続、それは長子相続に頼らない、高い資質、実務能力、企業家精神を持つ第三者へのＭ＆Ａによって実現されます。そのためのＭ＆Ａのオリエンテーションを行うのが、本書です。
もくじ情報：第１章　中小企業になぜＭ＆Ａが必要か？（イノベーションと企業者；次世代経営者をＭ＆Ａで探す新発想；Ｍ＆Ａの日米比較；これからの課題）；第２章　Ｍ＆Ａの概要と問題解決（相続についての概要；自社株の株価算定；Ｍ＆Ａのシナジー効果；財務の諸問題；人事労務の諸問題；税務の諸問題）；第３章　Ｍ＆Ａの流れとコスト（Ｍ＆Ａの流れ；Ｍ＆Ａのプレイヤーとその役割；Ｍ＆Ａにかかる費用；Ｍ＆Ａ後の経営体制と制度設計；人事と従業員モラル向上）；第４章　Ｍ＆Ａの経済学（歴史はなぜ変化するのか？；経済変化への対応に不可欠な「Ｍ＆Ａ」；既存中小企業にとってのＭ＆Ａとは？；テクノロジー系ベンチャー企業にとってのＭ＆Ａとは？）

瀬戸　篤(セト　アツシ)
国立大学法人小樽商科大学名誉教授。１９５８年北海道北見市生まれ。英国私費留学を経て小樽商科大学商学部卒業。北海道電力（株）入社、同社より国際大学・ニューヨーク大学修士課程派遣留学、国際大学ＭＡ。のち北海道大学農学研究科博士後期課程修了、博士（農学）。小樽商科大学商学部助教授（経済データ解析論）、名古屋大学ＭＢＡコース併任を経て、小樽商科大学ビジネススクール教授（企業家精神）