読者を駆り立てる『ラディカル・オーラル・ヒストリー』は、どのように書かれたのか。その軌跡が明らかになる―。アボリジニの世界へようこそ！オーストラリアで生活する先住民たちの文化と歴史に触れた保苅実は、何を伝えようとしていたのか。「研究」という枠に留まらず、いまなおわたしたちに影響・インスピレーションを与え続ける歴史学者の残した文章を集成する。ＢＯＯＫ１には、後の『ラディカル・オーラル・ヒストリー』につながる、未書籍化の雑誌・新聞連載、卒業論文を掲載。
もくじ情報：アボリジニの世界へようこそ！；生命あふれる大地―アボリジニの世界；ミノのオーラル・ヒストリー―ピーター・リードと保苅実；誰が歴史家なのか―ラディカル・オーラル・ヒストリー；オーストラリア先住民の歴史―アボリジニと近代（卒業論文）；保苅実習作時代；解説エッセイ　保苅実がまだ何者でもなかった頃の話（山本啓一）；解説エッセイ　月へ旅立った彼（保苅由紀）；（附録）闘病中のメッセージ

保苅　実(ホカリ　ミノル)
１９７１年、新潟市に生まれる。１９９６年、一橋大学大学院経済学研究科・経済学修士取得。１９９６年より、ニューサウスウェールズ大学在籍。歴史学Ｐｈ．Ｄ専攻。１９９９年よりオーストラリア国立大学に在籍、２００１年にオーストラリア国立大学歴史学博士号取得。１９９９年から２００３年まで、オーストラリア国立大学太平洋・アジア研究所（人類学科、歴史学科）、人文学研究所に客員研究員として、２００２年からは日本学術振興会特別研究員として慶應義塾大学に所属。２００３年７月、フィールドワークに向かう途中で発病（悪性リンパ腫）。２００４年５月、豪・メルボルンにて永眠。同年７月、オーストラリア国立大学にてフィールドワークを用いた先住民族史研究を対象とする保苅実記念奨学金が設立された（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）