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内容紹介・もくじなど
内容紹介:「誰だって痛みを抱えて生きている。」孤独な男子高校生のコテツは、島根の刀鍛冶に引き取られて暮らすことに-。人生に立ちすくんだ少年が一歩を踏み出す、再生の物語。青春小説の旗手が贈る、感動の傑作!---「何のために刀作っちょう?」主人公の沙コテツに、級友の土屋はあっけらかんとこうたずねる。これは、問われたコテツ自身の疑問でもあるが、同時に作者の問いかけでもあるのだろう。そして、私の疑問でもあった。「鉄には鉄のなりたい姿があっだわ」師匠はそう言う。刀になりたい鉄があるとするならば、そのように姿を整えてやることは、職人の止むにやまれぬ使命なのだろうか。自然のあり様は、人間にとって正しいことば…(続く)
内容紹介:「誰だって痛みを抱えて生きている。」孤独な男子高校生のコテツは、島根の刀鍛冶に引き取られて暮らすことに-。人生に立ちすくんだ少年が一歩を踏み出す、再生の物語。青春小説の旗手が贈る、感動の傑作!---「何のために刀作っちょう?」主人公の沙コテツに、級友の土屋はあっけらかんとこうたずねる。これは、問われたコテツ自身の疑問でもあるが、同時に作者の問いかけでもあるのだろう。そして、私の疑問でもあった。「鉄には鉄のなりたい姿があっだわ」師匠はそう言う。刀になりたい鉄があるとするならば、そのように姿を整えてやることは、職人の止むにやまれぬ使命なのだろうか。自然のあり様は、人間にとって正しいことばかりとは限らない。物語では使命を担った職人たちが、さまざまな傷や事情を抱えながらも、懸命に伝統をつなげていく。その姿に、人が生きていくということの困難と尊さを感じずにはいられない。本著は刀を作る職人たちの葛藤を感じつつも、爽やかに読みきることができる。それは、作者の丁寧で力のある筆致に「ペンは剣より強し」という言葉の灯りを感じることができたからだと思う。
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