叙情あふれる美しい自然描写、青春の苦悩、故郷への思いを見事に描いた、ヘッセの処女作にして出世作。

豊かな自然のなかで育ったペーターは、文筆家を目指し都会に出る。友を得、恋もしたが、都会生活の虚しさから異郷を放浪した末、生まれ故郷の老父のもとに戻り…。青春の苦悩、故郷への思いを、孤独な魂を抱えて生きてきた初老の独身男性の半生として書きあげたデビュー作。

ヘッセ，ヘルマン(ヘッセ，ヘルマン)
１８７７‐１９６２。ドイツの作家。両親はキリスト教伝道者。神学校に進むが学校生活になじめず、神経を病み退学。その後も高校を退学、３日で書店を退職するなど挫折を繰り返す。しかし独学で勉強し、２７歳で出した初めての小説『ペーター・カーメンツィント』で成功を収め、有名作家となる。主な作品に『車輪の下で』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』。１９４６年ノーベル文学賞受賞。１９６２年脳内出血のため自宅で就寝中に死去