日本哲学がもつ創造的な可能性を、台湾、韓国、中国における国際シンポジウムでの討議を通し、東アジアという視座において検討する。

日本、中国、韓国はそれぞれの伝統に依拠しつつ西洋哲学を受容することで近代哲学を形成してきた。哲学や思想における特徴や制限は、他の思想を鏡として、そこに映し出すことで明らかになる。なぜ違いが生まれたのか。互いの違いをどう克服するのか。西田幾多郎、吉田松陰、九鬼周造、西周、和辻哲郎、土田杏村、大西克礼、戸坂潤…。受容から対話へと続く道から、いま、東アジアにおける哲学的創造の新たな意義と可能性が拓かれる。
もくじ情報：第１部　思想の対話（思想間の「対話」とは何か；哲学的オーケストラの実現のために　ほか）；第２部　東アジアという視座から見た哲学の形成（東アジアと哲学―一九三〇年代の対立と相互作用；東アジア近代哲学史の可能性―土田杏村のこころみにみる　ほか）；第３部　日本における哲学の形成と発展（西周の哲学―翻訳的探究を経て新たな知の創造へ；日本語と日本的霊性―日本における哲学の形成と発展　ほか）；第４部　西田哲学の位置（「場所」の思想の深層―「西田とハイデガー」の対比と「世界交差」としての西田哲学；モナドロジーと西田哲学―「一と多の矛盾的同一」について　ほか）

藤田　正勝(フジタ　マサカツ)
１９４９年生まれ。京都大学大学院総合生存学館・教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）